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イスラエルの鼓動 2000年3月
中東の外観と内部事情 ウィリアム・E・カリー牧師
 
信教の自由、エチオピア問題は新たな火種
 
 イスラエルにおいて、メシアニック・ジュー運動と民主主義に対して深刻な攻撃が起ってきた。以前の攻撃は“伝道を違法とする”というものであったが、今回は“エチオピア系イスラエル人の三姉妹の市民権剥奪・国外追放”というものである。 彼女たちはエチオピアから移民して来て、過去9年間イスラエルに住んでいてメシアニック・ジューのグループに属している。
 2000年2月4日付「ハ・アレツ紙」は、“シオンの夢は悪夢に”という題で彼女たちのことを以下のように報じた。
 ……3人は1991年、“父”と呼ぶエチオピア系ユダヤ人の男性とともに「ソロモン作戦」でイスラエルに到着した。養父の名を名乗っていた彼女たちは、当局へ彼の養女として申請、身分証明書も彼の扶養家族として受けた。…養父はその2年後に死去、三姉妹は入国当時15、16、18歳で、当局から非ユダヤ人であることを隠そうとしたわけではなかった。しかし彼女たちの母親がクリスチャンということも、当局には知られていなかった。…彼女たちの実の父親もクリスチャンであった。養父となってイスラエルに来た男性の名はヴァンドプロウ、彼女たちの母親の配偶者で、実の親子ではない事も申請していなかった。ティーンエイジの新来者が当局にすべてを語り、この男性の養女であることが記録に載れば、将来の敵を未然に排除できたはずである。…今日娘たちは、「重要事項を隠していたのではない、すべて適切であった」「私の物心ついた時からヴァンドプロウとともにいて、彼を名実ともに自分の父と思っている」と言っている。…
 
 彼女たちのイスラエル人としての生活を、何物も妨害してはならない。この件に関しては昨年、匿名の者によって内務省に届けられた、メシアニック・ジューを非難するビデオテープが関係しているか? 聖歌隊の中に若いエチオピア系の人たちも参加していたので、内務省役人はビデオに出ていた一人一人の身元を洗って調査をしたという。結果としてこの3人は、「偽造書類や隠匿告白で取得した入国許可と市民権を撤回する。5月30日までに出国しなければ法的強制手段を取る。」という内務省高官のサイン入りの簡潔な手紙を受け取った。
 彼女たちに関する最後の報道は、内務省の戸口で憐れみを請うている場面であった。内務相あての手紙に彼女たちはこう書いている。「私たちはティーンエイジャーの時、父とともに住むためにイスラエルへ来た。私たちは学校教育を受け、社会に受け入れられた。私たちはユダヤ教に改宗していないが、自分たちをユダヤ人と見ている。ユダヤの伝統を愛し律法を守る。しかし私たちはメシアニック・ジューである。私たちはこの社会に残りたい。私たちの市民権は不当に剥奪されたのだから。」
 
 ハ・アレツ紙はすでに、「内務省は彼女たちの市民権取り消しを確定した」と最高裁の決定を1月末に報じていたので、彼女たちのいかなる申請も政府の意向を変更できないであろう。2月20日シェランスキー内務相は、政府に対して“ユダヤ人に反対する行動”として“宣教活動”を規制するように要請を出した。“帰還法”によると内務相は、ユダヤ人に反対するいかなる非ユダヤ人に対しても、イスラエル帰還法により国外追放する権利をもっている。メシアニック・ジューの指導者は三姉妹に会って、最高裁に再審請求するように勧めた。
 
 この事件は内務省がメシアニック信者を検閲したり、追放を試みるための布石である。同省はいままで超正統派のシャス党によって支配されていたが、今でも彼らの息がかかった官僚がひしめきあっている。加えて同省勤務のエチオピア移民たちは地方議会に働きかけて、メシアニックのグループに属している者たちを捜査するように準備をしている。イスラエル国内はすでに、大多数の世俗派と少数の宗教家との内戦が始まっている。問題の根底には、正統派の支配下で宗教国家となるか、新生イスラエル国の独立宣言に基づいて民主国家となるか、ということである。独立宣言は「すべての国民に、民族・信条・性別の分け隔てなく、社会における平等と良心・礼拝・教育・文化の自由を保障する」と明言している。正統派が支配力を増大して横暴な振舞いをするならば、この宣言の主旨は無効・無力なものとなる。そしてこの独立宣言を抜きにして民主国家としてのイスラエルはあり得ないのだ。
 
 メシアニック・ジューの指導者たちで構成されるMAC(メシアニック行動委員会)は、この三姉妹のジレンマについてこう述べている。「内務省は冷淡な法的手段を講じ、最高裁は判決を覆すことをしないであろう。しかし人道主義的に見ても、今回の事件は3人の若い女性たちに対して残酷すぎる。アリヤ(イスラエル帰還)当時に、彼女たちが故意に偽って申請をしたと証明できる者は一人もいない。ごく普通に考えられるのは、彼女たちはただ父親について来ただけで、他の人が書類を出したと見るほうが妥当である。」
 MACはこの問題をとても憂慮している。この3人とも、過去9年間で生活全般をイスラエル社会に融和させている。故に“反ユダヤ的”と呼ばれるひとつの原因は、3人がメシアニック共同体と係わりを持っているからに他ならない。この法律上“まっとうな決定”は多くの“好ましくない族”に対抗する手段として国籍・市民権剥奪や国外追放などを行使する権限を当局に与えることになり、正式なユダヤの血筋を引きながらもメシアニック信者になっている者たちにとって厳しい局面になりつつある。宗教活動家たちは内務省の内外から圧力をかけ、法的手段を持ってメシアニック・ジュー共同体に反対する動きを強めている。 
 MACは国外の信者から、イスラエル指導者たちに手紙による抗議・要請を出して欲しいと願っている。これはイスラエル独立宣言に反する例の「反宣教法案」を阻止するためにも手助けとなるであろう。どうかイスラエルのメシアニック・ジューとともに立っていただきたい。e−mailは政府によってよく無視されるので、手紙は必ず郵便かFAXを使用すること。住所は以下のとおり。
 
エフド・バラク内閣総理大臣殿
Prime Minister Ehud Barak     
3 Kaplan Street, P. O. Box 187  
Kiryat Ben-Gurion 2       
Jerusalem 91919        
Fax: 972-2-566-4838      
 
ナタン・シェランスキー内務大臣殿 
Minister Natan Sharansky
Ministry of the Interior
Kaplan Street, P. O. Box 6158
Israel Kiryat Ben-Gurion
Jerusalem 96101 Israel
Fax: 972-2-670-1628
 
 MACもAMFIも読者の皆様に、この三姉妹とメシアニック・ジューのために少し時間を取り、手紙を出していただけるようお願いします。今後イスラエルでの福音宣教の業が進められるためにとても必要なことなのです。
 
ビル・カリー師より個人的な一言
 
 1999年12月26日、私は心臓発作で重体になり、午前4時に家族の手で病院に担ぎ込まれました。ICUへ運ばれる途中、心臓マッサージを受け、血圧は50−0 でした。後で聞いた話では、このような状態になったら、3人中1人しか生存できないそうです。私の心臓は停止し、ストレッチャーが呼ばれたのですが、医師の死亡確認の前に私の心臓が再び動き出したのです。医者たちを含めて、私でさえもあの日のことが不思議でなりません。誰も私が生きられるとは思わなかったのです。その最初の数時間は、家族にとって暴走するジェットコースターに乗っているような、衝撃の時間でした。その後私の症状は、わずかづつ快方に向かいました。
 私は天の御国の扉をノックしたのです。しかし主は「地上でおまえの仕事がまだ残っている」とおっしゃいました。8日後、人工呼吸器を着けたままで、私はICUから中間管理室を飛ばして、一般病室へ移されました。さらに5日後、私は体力を使い果たしてしまい、衰弱していました。数日後、私は近くの病院の心臓専門のリハビリを受け心臓強化運動をすることになりました。第一回の訓練で私は、6分間休まずに歩くように言われました。終了後、医者は私を坐らせ担当医を呼びました。私にとって初めての経験でしたが、私は心室痙攣(無言の殺し屋と呼ばれる)を起こしていたのです。私はマンスター公立病院で“心筋安定装置/ペースメイカー”の装着にて適していると判定され、胸にその装置を埋め込まれました。これは現在順調に作動していますので、心機能リハビリを継続し、回復に向かっています。
 私の妻スワニーは、私たちのこの試練を耐えています。彼女は私にとって看護ばかりではなく、肉体・精神両面の大きな支えであります。私たちは主より毎日いただく力を知り、主のご臨在を経験しつつ暮らしております。主がすべてにおいて充分な御方であることを実感しています。
 主治医は私の現役復帰には、まだ数ヶ月もかかると言っています。しかし、主に不可能はありません。主が私をここまで導いてくださったのは、私を主のしもべとしてユダヤ人のため働くようにしてくださるためであったと確信しています。
 
イスラエル寸評
 
 1990年、メシアニック指導者はイスラエル国内に2000人のメシアニック・ジューが存在すると発表した。1999年12月1日、MACの発表ではイスラエルの信者数は4000人以上に増大した。その中の約800人は生粋のイスラエル生まれのユダヤ人、その他は移民して来た人たちで、イェシュア(イエス)の弟子となった人たちだ。
 
 イスラエル最大の水瓶であるキンネレト(ガリラヤ湖)の水位は、1999年末乾期の水位海抜マイナス212.9mであった。2000年2月14日付エルサレム・ポスト紙は、1998年のマイナス210.8m よりも低いと報道、国内の水需要は3000万キロリットルに達している。イスラエル政府は海水の淡水化政策から、トルコから水を輸入する政策に切りかえることを検討している。
 
             (AMFインターナショナル発行 邦訳;石黒イサク)
 
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